2011年12月18日日曜日

知識は泥棒にも奪われない



「なぁ、ジュン、明日ヒマか? な、ヒマだろ? ついて来てよ」

残念ながら本当にヒマだった私はひょこひょことついて行くことに。


で、何なのさと聞くと、他の郡でのワークショップに呼ばれたからと。

INSET(先生たちの研修)を始めるらしいから、アカチの取り組みを教えるんだと。

そんな感じでした。そして、ヤな予感もしました。

「いいよいいよ、いてくれれば」と言われたことが、ヤな予感をいっそう強めます。


翌日。会場に着くと

「ジュン、お前の時間が用意されているらしいから、よろぴくー!」って。


…フッフッフ、オレがガーナに何ヶ月いると思ってるんだぁ!

何が起こっても変じゃない!そんな時代さ、覚悟はできてる!(出典:ミスチルのes)


というわけで、こっそり忍ばせた授業グッズを見せながら、

他郡の校長先生やカリキュラムリーダーにむけてエラそうに

先生たちの研修はどう進めていくべきかを講義してしまいました。



しかし!持ち時間は90分!人前と女性が苦手な自分には間がもちません。

そんな私を見かねて、次からはこうしよう、あの教材はあるか、

行政的なことはオレがいくから、研修内容と日本の比較はジュンがいってくれ、

みたいに自然と「事前打ち合わせ」をするようにもなりました。(最初からしとけ)


郡を変え人も変わり、今学期で計4回のプレゼンテーションでした。

話す必要性をもらって、自分もあらためて考え直しました。

今まで使った教材も、眠りから今一度さまされて喜んでいたと思います。

アカチのあをたけさんも教材準備に協力してくれました。

そして、INSETということで自分を思い出してくれた配属先にも感謝です。



最終回の日、閉会間際に参加者が猛烈に何かを訴えていました。

「今回の交通費が少し足りない!」「日当を増やせ!」と、

どうやらその研修にかかる待遇向上についてのアピールでした。


あちゃーと思っていると、立ち上がったのはうちのニューマンさん。

新しくINSETスーパーバイザーに異動した人です。

ニューマンさんはこんなことを言ったというのを訳してみます。



私たちも6月にJICAのワークショップを開いた時、参加者の手当てのことで議論したんだ。

その日の交通費、昼食、お菓子やジュースに筆記用具…。

ガーナでは開催側が用意するのが普通だが、それじゃダメだとジュンが言ったんだ。

結局そういうものは用意せず成功したし、今でもアカチはそういうものは用意していない。


いくらお金を持っていても、泥棒に入られたらおしまいだ。

しかし知識はどうだ。泥棒でも頭の中の知識は奪えないだろう。

自分に返ってきて、奪われないもの。

そういうものにこそお金をかけないといけないって、アカチはJICAから学んだんだ。


JICAは地震があったのにINSETをサポートして、ジュンはボランティアでここにいる。

そういう発言はよく考えてからした方がいい。



おお、ニューマンさん…!そして全員静まった!

ニューマンさんは6月に「JICAのお金でジュースとか買うのがホスピタリティだ」

みたいに主張していた人のひとり。

そっか、あれからそんな風に考えてたのね。


アカチにこういう人がいてよかったよ、本当に。



2 件のコメント:

Oh Soukai さんのコメント...

よき理解者が出てきてよかったね。

この研修の時の日当問題は世界共通なんでしょうかねー。
だれがどんな意図で始めたのか?ガーナの人もよーく考えたら分かりそうなものなのに、と思うのは日本人だけかなー?

明治の頃、日本政府は外国人技術者を高給を払って雇っていたこと、優秀な若者を年間300人以上も当時の先進国に留学させていたことなど思い出すのです。

Kofi Jun さんのコメント...

Oh Soukai さん!
なーるほど明治時代の日本、たしかにそういう経緯ありますね。
ただ今回のことは、この人たちの文化を真っ向から否定することにならないかと抵抗も感じてまして。
ガーナ人がこのようなことを言ってくれてうれしかったけど、果たしてこれが正解なのかどうかはわかりません。
配慮はするけど、遠慮はしない。
極端な主張に偏ることなく、上手な線引きができたらどんなにいいかと思い悩む日々です。