2012年2月18日土曜日

村の元気を私の元気に



何が有意義だったか編、その壱。

1日目の午後に訪れたサンチガ村の小学校での「マジカルサイエンスツアー」のことです。



上の写真のような科学のお兄さんお姉さんに引き連れられながら、

「表面張力の不思議」「水素爆発」「糸電話(ばね電話)」「空気砲」「曲がる魔球」の

5種類のブースを順々に巡り、できるだけ驚きや楽しさをもって学んでほしいと仕掛けました。



えー、ここで懺悔です。

「曲がる魔球」担当の私、蹴っても蹴っても全く曲げることができませんでした。


曲げるよと言って曲げられない、大人の情けなさを知った子どもたち。

ボール拾いにパシってしまった心優しき調整員の方。

乾季の中で生命を脅かすほど走らせてしまった挙句、ズボンまで破いてしまった同期やすぽん。

そして、何気なく蹴って中村俊輔ばりにものすごい曲げてくれたガーナ人JICAスタッフ。


本当にありがとうございました、そしてごめんなさい。

日本人の方、この埋め合わせは首都でお寿司でよろしいのでしょうか。



各ブースでは子どもたちに体験させ、クリアしたら「おみやげ」を渡しました。

その「おみやげ」たちを集めて組み立てると、ペットボトルロケットができるという仕掛けです。


これら一連の仕掛けは、ミーティングでやいやいしゃべっているうちに決まったものです。

いやはや、愉快で頭の柔らかい仲間に恵まれたものです。



さて、この学校がサンチガ村に立ち上がって、まだおよそ1年弱。

かつての隊員が設立に関わり、尽力したと聞いています。


きっとその先輩隊員は、学校ができる過程だけではなく、

できあがってからどのように成長していくかという見届けられない未来の姿まで、

きっとやきもきしながら描いていたのではと想像します。


尽力の甲斐があってか、そして先生や地域の人にも恵まれたか、

この学校は学校としてたしかに前に進んでいる印象を受けました。


きっと普段から協力的で献身的な人柄だとにじみ出まくってる校長先生。

実験たちに「こりゃ一体、どうなってるんだ?」という目をしながら喜ぶ子どもたち。

それをどれどれと見守りに(いや、自分も興味があるのか)やって来る地域の大人たち。

生活は楽ではないはずなのに、帰り際にはヤム芋と生きたニワトリを私たちにくれる美しさ。

ほんと、心が洗われるような思いをしました。



サンチガ村での経験は、心が洗われるだけではもったいない、得がたいものです。

そういえば、今回のように立ち上がったばかりのよちよちの何かに出会えたり、

今からいっしょに作っていこうという過程に参加できたり、

拡大する中でやり切る達成感やうまくいかない苛立ちで一喜一憂できたりと、

この2年はそんなことが希望する以上に多くあった気がします。



私事ですが、大学を卒業してから教職に就いたところ、正直ビックリしました。

想像以上に多岐に渡るタスクの多さ、

それらを部活動が終わってから追いかけるように終わらせる日々。


乗りたい特急列車はすでにものすごいスピードで駅を通過していて、

とにかく置いていかれないように、多少のケガを覚悟で飛びついてしがみつく感じでした。

「この列車には乗らない」といって他の列車を待つことを許されなかったり、

飛びつき方がまずくてケガをしたりした場合、そりゃ大変なことになりそうです。


「べらぼうに速い乗り物ができたら便利だよね。」

「お、列車か、いいね。やってみようぜ。」

「もっと速く走らせられないものかね。線路も長くできないものか。」

「ようよう、なんか景気のよいことしてるねえ、うちの町にも駅を構えようか。」


そんな始まりの物語を知っていたり、想像できたりしたならば、

非情なスピードで走る特急列車にも怒らず慌てず、もう少しうまく飛びつけた気がします。



自国の力強い成長は知らず、振り返ればバブル崩壊に雇用縮小、

先を見据えれば年金破綻の話題。


そんな世代だとも私たちアラサーは言われているようです。

たしかに、懐古するにも ALWAYS 三丁目の夕日 を観ることくらいしかできません。


しかし、「そんな時代も日本の昔にはあったのかもしれない」と想像して重ねて見るための

素材とあちこちで出会う場に身を置いた私たちは、恵まれていると言えます。

新卒の人なんかいたら、「今いい景色を見てるよ、オレたち」とエラそうに言いたいくらいです。


学校ができるまでの、人々の苦労。

実現した後の、先生たちの奮闘。

集まる場ができただけで、そりゃもううれしそうな子どもの姿。


そんなシーンを日本にうまく持ち帰ることができたなら、

振り落とされやしないだろうかと不安になりながら列車に飛び乗るというよりは、

顔も知らないたくさんの先人たちががんばって積み重ねた上に立っていると考えられそうです。


「いいなあ、ガーナはのんびりしてて」とため息をつくのは健康的でも建設的でもありません。

「昔はきっと日本もそうだったんだよ」と思いながら未来予想図を描き足すことを選びたいです。



少し前に「日本の先生が病んでいる」的なニュースを見たり、

離職率の高さを示したデータを見たりしたので、こんな振り返りになってしまいましたが。

いや、病んでしまった先生もサンチガ村のような場所に触れると、きっと癒されるかと。


とにかく、心が洗われるようなサンチガ村での昼下がり。

帰りたくなるような郷愁というよりは、明日への栄養剤として上手に思い出したいものです。

2 件のコメント:

2年英語 さんのコメント...

ジュンジュンの文章は、いつも考えさせられるし、納得する事も多いけど、今日のはいつもに増して、「なるほどね〜」と思うな!あと、ホンマに少しやな〜

Kofi Jun さんのコメント...

かずさん!

コメント放置プレー、まじすいませんでした!
そしてもうオレたち帰国ですよ!
楽しみすぎて困っちゃいますね!